iPhoneのクイックスタートは、容量・通信・アカウント・個別アプリを移行前に確認することで失敗のリスクを減らせます。
特にLINE、交通系IC、認証アプリは、アイコンが移っても必要な情報まで使えるとは限りません。新しいiPhoneで動作確認が終わるまで、古いiPhoneを消さないことも大切ですよ。
iPhoneクイックスタート開始前の必須確認7項目
クイックスタートは、古いiPhoneを新しいiPhoneの近くに置き、画面の案内に沿って初期設定やデータ転送を行うAppleの機能です。
写真、連絡先、メッセージ、アプリ、設定などの多くを移せますが、何も準備せずに始めてよいわけではありません。まずは、次の7項目を確認しましょう。
- 新旧iPhoneのOSを更新しておく
- BluetoothとWi-Fiをオンにする
- 2台とも十分に充電する
- 新しいiPhoneに必要な容量があるか確認する
- Apple Accountとパスワードを確認する
- 古いiPhoneのパスコードを確認する
- LINEやSuicaなどの個別アプリを準備する
この記事の情報は、2026年8月16日時点のApple、LINE、auなどの公式案内を基準に整理しています。
アプリや通信会社の手順は変更されることがあります。実際に機種変更するときは、iPhoneに表示される案内と、利用中のサービスが公開している最新情報を優先してくださいね。
対応するOSと更新状況を確認する
Appleの公式サポートでは、iOS 11以降を搭載したiPhoneまたはiPadを使って、新しい端末をクイックスタートで自動設定できると案内されています。
一方、古いiPhoneから新しいiPhoneへデータを直接転送する方式は、一般にiOS 12.4以降が必要です。クイックスタートの自動設定と、端末同士の直接転送では条件が異なる点に注意しましょう。
OSの確認と更新は、古いiPhoneで次の順に進みます。
1. 「設定」を開く
2. 「一般」をタップする
3. 「ソフトウェアアップデート」をタップする
4. 利用可能な更新があれば画面に沿って進める
更新にはダウンロードや再起動が必要です。機種変更当日に行うと、データ移行を始める前から長く待つことがあります。
できれば前日までに更新を済ませ、更新後にLINEや認証アプリなどが正常に開くことも確認しておきましょう。
Bluetoothと安定した通信環境を用意する
クイックスタートを始めるときは、古いiPhoneのBluetoothをオンにして、新しいiPhoneの近くに置きます。
Bluetoothがオフになっていると、「新しいiPhoneを設定」という案内が表示されないことがあります。「設定」から「Bluetooth」を開き、スイッチがオンになっているか確かめてください。
Appleの現在の案内では、新しい端末をWi-Fiまたはモバイル通信ネットワークに接続し、画面に沿って設定します。利用する転送方法や設定内容によって、必要な通信環境は異なります。
公衆Wi-Fiは、途中で利用規約への同意や再認証を求められる場合があります。できれば、自宅などで安定して使えている通信環境を選びましょう。
2台を電源につないでおく
データ転送に必要な時間は、保存されているデータ量、ネットワークの状態、転送方法などによって変わります。
Appleも所要時間を一律には示していません。そのため、「何GBなら何時間」と決めつけず、数時間使えなくても困らない時間帯に行うのが安全です。
新旧両方のiPhoneを十分に充電し、可能であれば電源につないだまま進めましょう。クイックスタート中は、両方の端末を普段どおり使えない時間が発生します。
Lightning端子の古いiPhoneからUSB-C端子の新しいiPhoneへ替える場合は、必要なケーブルが異なることがあります。2台を同時に充電できるかも、作業前に確かめてくださいね。
ストレージ容量とバックアップはどう確認する?
新しいiPhoneの保存容量は、古いiPhoneで現在使っている容量以上を目安に考えます。
たとえば、古いiPhoneで200GBを使用している場合、保存容量が128GBの新しいiPhoneへ、そのまま同じ内容を収めることはできません。
古いiPhoneの使用容量は、次の手順で確認できます。
1. 「設定」を開く
2. 「一般」をタップする
3. 「iPhoneストレージ」をタップする
4. 画面上部の使用済み容量を見る
空き容量を増やすときは、何が容量を使っているのかを先に確認しましょう。
- 長時間の動画
- 使っていないアプリ
- 動画配信アプリのダウンロード作品
- 音楽のオフライン保存
- メッセージに添付された大きなファイル
- 動画編集アプリ内の素材やプロジェクト
- オフライン保存した地図
- 不要と確認できた書類やダウンロードファイル
特に見落としやすいのが、CapCutなどの動画編集アプリに残る編集中の素材です。写真アプリだけを確認しても、アプリ内に大きなデータが保存されている場合があります。
ただし、容量を減らすために慌てて写真を削除するのはおすすめできません。
iCloud写真を使用している場合、iPhoneから削除した写真がiCloudや同じApple Accountで同期しているほかの端末からも削除されることがあります。削除前に同期状態と保存先を確かめましょう。
クイックスタート前にもバックアップを取る
直接転送を使う場合でも、移行前にバックアップを用意しておくと安心です。
クイックスタートが中断された場合や、古いiPhoneが故障した場合に、別の復元方法を選べる可能性があるからです。
バックアップには、主に次の方法があります。
- iCloudにバックアップする
- MacのFinderでバックアップする
- WindowsのAppleデバイスアプリなどでバックアップする
iCloudの空き容量が足りない場合でも、新しいiPhoneの購入に伴って、一時的なiCloudストレージを利用できる場合があります。
古いiPhoneの「設定」「一般」「転送またはiPhoneをリセット」と進み、「新しいiPhoneの準備」に関する案内が表示されるか確認してみましょう。
バックアップしたからといって、すべてのアプリ内情報が必ず復元されるわけではありません。それでも、復旧方法を一つ増やしておく意味はありますよ。
Apple Accountと各アプリで準備することは?
クイックスタートでは、古いiPhoneのパスコードやApple Accountのパスワードを求められることがあります。
普段Face IDだけでロックを解除している方は、古いiPhoneの数字のパスコードを忘れていないか確認しましょう。Apple Accountのパスワードとは別のものです。
Apple Accountは、古いiPhoneで「設定」を開き、画面上部の名前をタップすると確認できます。
Googleアカウント、メール、金融サービス、SNSなどでも、移行後に再ログインを求められる可能性があります。登録メールアドレスや復旧用電話番号が現在も使えるか確認してください。
LINEはクイックスタートだけに任せない
LINEアプリが新しいiPhoneに表示されても、アカウントとトーク履歴の引き継ぎを確認せずに古いiPhoneを消すのは危険です。
LINE公式の「LINEみんなの使い方ガイド」では、古い端末が手元にある場合、「かんたん引き継ぎQRコード」による引き継ぎが案内されています。
2026年8月16日時点の公式案内では、LINEバージョン12.10.0以上なら、QRコードを使ってパスワード入力なしで引き継げます。
同じOS間でバックアップを取っている場合は、直近14日間分に加えて、バックアップしたトーク履歴を復元できると案内されています。バックアップがない場合などは、復元できる範囲が限られるため注意が必要です。
移行前には、古いiPhoneのLINEで次の項目を確認しましょう。
- LINEを最新バージョンへ更新する
- 登録電話番号が現在の番号か確認する
- 登録メールアドレスを確認する
- トーク履歴をバックアップする
- 「かんたん引き継ぎQRコード」の場所を確認する
- 必要な写真やファイルを別途保存する
LINEの仕様は変わることがあります。古い第三者サイトの手順ではなく、移行する時点のLINE公式案内を基準にしてくださいね。
Suica・PASMOは新しいiPhone側から移行できる
SuicaやPASMOなどの交通系ICカードは、同じカードを複数の端末で同時に使えません。ただし、古いiPhoneで必ず先にカードを削除しなければならないわけではありません。
Appleの2026年8月16日時点の公式案内では、設定アシスタントを使って次のように移行できます。
1. 新しいiPhoneの設定中に「ウォレット」をタップする
2. 以前の端末から移行するカードを選ぶ
3. 「続ける」をタップして移行を確認する
初期設定後は、新しいiPhoneのウォレットアプリから移行する方法もあります。
1. 新しいiPhoneでウォレットを開く
2. カードを追加するボタンをタップする
3. 「見つかったカード」をタップする
4. 移行する交通系ICカードを選ぶ
5. 画面の案内に沿って追加する
この方法では、古い端末が近くにあり、インターネットへ接続されている必要があります。古い端末が近くにない場合は、カードを手動で削除してから移行する手順が必要になることがあります。
交通機関で移動している最中は、カードを端末間で移行できません。乗車前や改札内ではなく、自宅などで落ち着いて操作しましょう。
Apple Watchに交通系ICカードを入れている場合は、iPhone側だけで判断できません。カードがiPhoneとApple Watchのどちらに入っているかを確認してください。
認証アプリと金融アプリを最優先で確認する
認証アプリは、銀行、SNS、仕事用サービスなどへログインするときに使う確認コードを管理しています。
認証情報を移せないまま古いiPhoneを消すと、新しいiPhoneから複数のサービスへログインできなくなる可能性があります。
移行前に、次の項目を確認しましょう。
- 認証アプリに移行機能があるか
- クラウド同期が有効か
- 復旧用コードを保管しているか
- 別の認証方法を登録しているか
- 勤務先で再登録手続きが必要か
- 銀行アプリで機種変更手続きが必要か
Google Authenticatorなど、アカウント同期や移行機能を備えたアプリもあります。ただし、同期の有無や利用方法によって手順が変わるため、アプリ内の状態を確認してください。
私が認証アプリを写真と同じくらい重要だと考える理由は、ひとつの移行漏れが複数のサービスに影響するからです。
写真が表示されるかだけで安心せず、「新しい端末から本人確認ができるか」という視点を持つことが大切ですよ。
ゲームや仕事用アプリも個別に確認する
ゲームアプリでは、ユーザーID、連携アカウント、引き継ぎコードなどが必要になることがあります。
古いiPhoneが使えるうちに、各ゲームの設定や公式ヘルプで引き継ぎ方法を確認しましょう。引き継ぎコードには有効期限が設定される場合もあるため、発行条件も確認してください。
勤務先が管理しているメール、チャット、VPN、認証アプリは、会社側で新端末の登録が必要なことがあります。
クイックスタートをする前に、管理担当者へ確認すべき手続きがないか調べておくと、機種変更後に仕事ができない事態を防ぎやすくなります。
クイックスタートの手順とeSIMの注意点は?
準備ができたら、新旧のiPhoneを近くに置いてクイックスタートを始めます。
基本的な流れは次のとおりです。iOSのバージョンや通信会社によって、実際の表示や順番が異なる場合があります。
1. 古いiPhoneのBluetoothをオンにする
2. 新しいiPhoneの電源を入れる
3. 2台を近くに置く
4. 古いiPhoneの「新しいiPhoneを設定」で「続ける」を選ぶ
5. 新しいiPhoneのアニメーションを古いiPhoneで読み取る
6. 新しいiPhoneに古いiPhoneのパスコードを入力する
7. Face IDや通信回線を設定する
8. データの転送方法を選ぶ
9. 利用条件を確認して転送を始める
10. 完了するまで2台を近くに置き、電源につないでおく
カメラでアニメーションを読み取れない場合は、「手動で認証」が表示されていれば、画面の案内に沿って進められます。
クイックスタートが表示されない場合は、Bluetoothがオンか、2台が近くにあるか、古いiPhoneのロックが解除されているかを確認してください。それでも表示されなければ、両方の端末を再起動してから試します。
eSIMは通信会社ごとに条件が異なる
対応する通信会社と契約であれば、クイックスタート中に電話番号を新しいiPhoneへ転送できる場合があります。
ただし、すべてのeSIMが同じ手順で転送できるわけではありません。契約先、契約内容、端末、受付時間などによって条件が異なります。
auの公式案内では、2026年7月23日更新の情報として、機種変更の回線切り替えとeSIM転送の受付時間を0時5分から23時55分までとしています。
これはauが案内している条件であり、すべての通信会社に共通する時間ではありません。深夜に移行する場合は、利用中の通信会社の受付時間を先に確認しましょう。
eSIM転送後は、Wi-Fiをオフにした状態でも次の操作ができるか確認します。
- アンテナ表示が出る
- モバイルデータ通信につながる
- 電話を発信・着信できる
- SMSを送受信できる
物理SIMを利用している場合は、SIMカードの差し替えが必要です。回線切り替えを伴う機種変更では、通信会社が指定する順番を優先してください。
移行後は何を確認してから古いiPhoneを消す?
新しいiPhoneにホーム画面が表示されても、移行作業がすべて終わったとは限りません。
アプリのダウンロード、iCloud写真の同期、メールの取得などが続く場合があります。必要な機能を実際に試すまで、古いiPhoneは初期化しないでください。
確認項目をアプリ名だけで並べると、見落としやすくなります。私は、次のように「生活の場面」で分ける方法をおすすめします。
- 連絡する:電話、SMS、LINE、メール
- 移動する:Suica、PASMO、地図、車載機器
- 支払う:Apple Pay、銀行、決済アプリ
- 働く:認証アプリ、仕事用メール、チャット
- 記録する:写真、動画、連絡先、メモ、カレンダー
- 楽しむ:ゲーム、音楽、動画配信サービス
たとえば、LINEのアイコンがあるだけでは「連絡できる」とは判断できません。トーク履歴が見えるか、メッセージを送受信できるか、通知が届くかまで試しましょう。
Suicaも、ウォレットにカードが表示されるだけでなく、エクスプレスカードの設定を確認します。金融アプリや認証アプリは、残高表示や確認コードの発行まで確かめてください。
Apple Payのクレジットカードは、セキュリティ上の理由から再認証を求められる場合があります。キャリアメールも、契約先の構成プロファイルや設定が必要になることがあります。
「探す」機能も確認しておきましょう。「設定」の自分の名前から「探す」「iPhoneを探す」と進み、必要な機能がオンになっているか確かめます。
「移行日」と「初期化日」を分けると安全
個人的には、機種変更を「データを移す日」と「古いiPhoneを消す日」に分ける方法が現実的だと考えています。
新しいiPhoneを一定時間使い、電話、通信、決済、移動、認証に問題がないと確認してから、古いiPhoneを初期化する方法です。
この方法なら、次のような問題に気づいたとき、古いiPhoneで設定や情報を確認できます。
- LINEのトーク履歴が不足している
- 認証コードを新端末で発行できない
- ゲームの引き継ぎIDが分からない
- 交通系ICカードを移せていない
- 仕事用アプリの再登録が必要だった
- 必要な写真やファイルが見つからない
ただし、下取りや返却には期限があります。確認期間を長く取りすぎず、返却条件と期限を守りましょう。
iPhoneクイックスタートの注意点をどう考える?
クイックスタートで本当に重要なのは、「何が移るか」を眺めることではなく、移らなかったときに困るものを先に特定することです。
写真や連絡先は確認しやすい一方、認証情報、金融アプリ、交通系IC、仕事用アプリなどは、必要な場面になるまで移行漏れに気づきにくい特徴があります。
スマホの相談を受けるときも、「データは移りましたか」だけでは十分ではありません。「連絡できますか」「支払えますか」「ログインできますか」と、利用目的まで分けて考えることが大切です。
クイックスタートは、古いiPhoneを丸ごと完全に複製する機能ではありません。Appleが管理するデータのほかに、それぞれのアプリ会社、金融機関、交通事業者、通信会社が管理する情報があるためです。
そのため、Appleの手順だけを確認すれば完了するとは限りません。Appleの公式案内を土台にしながら、LINEはLINE公式、交通系ICはAppleや交通事業者、回線は契約中の通信会社というように、情報源を分けて確認する必要があります。
また、根拠の分からない移行時間を目安にするのも避けた方がよいでしょう。転送時間は容量だけでなく、通信状況、端末、転送方式、アプリ数などに左右されます。
「40GBなら何時間」と考えるより、予定のない時間を確保し、2台を充電しながら進める方が失敗防止につながります。
クイックスタートは便利ですが、準備なしで結果を任せきる機能ではありません。事前確認と移行後の動作確認をセットで考えることで、機械が苦手な方でも落ち着いて進めやすくなりますよ。
まとめ
iPhoneのクイックスタートで失敗を防ぐには、OS、Bluetooth、通信環境、充電、保存容量、Apple Account、古いiPhoneのパスコードを事前に確認しましょう。
LINEは公式の引き継ぎ方法とトーク履歴のバックアップを確認し、SuicaやPASMOは新しいiPhoneの設定アシスタントまたはウォレットの「見つかったカード」から移行できます。古いiPhoneでの事前削除が常に必須というわけではありません。
認証アプリ、金融アプリ、ゲーム、仕事用アプリは、個別の再登録や引き継ぎが必要な場合があります。アプリのアイコンではなく、実際にログインや利用ができるか確かめてください。
そして最も大切なのは、新しいiPhoneで連絡・通信・決済・移動・認証を確認するまで、古いiPhoneを初期化しないことです。
よくある質問
クイックスタートにはWi-Fiが必須ですか?
利用する転送方法や設定内容によって条件が異なります。Appleは新しい端末をWi-Fiまたはモバイル通信ネットワークに接続して設定するよう案内しているため、画面の指示に従いましょう。安定したWi-Fiを利用できる環境も用意しておくと安心です。
クイックスタートをすればLINEも自動で完全に移りますか?
完全に移るとは限りません。移行前にLINEを更新し、登録情報とトーク履歴のバックアップを確認してください。古い端末が手元にある場合は、LINE公式が案内する「かんたん引き継ぎQRコード」を利用できます。
Suicaは古いiPhoneから先に削除する必要がありますか?
常に事前削除が必要なわけではありません。古いiPhoneが近くにあり、インターネットへ接続されていれば、新しいiPhoneの設定アシスタントやウォレットの「見つかったカード」から移行できます。端末が近くにない場合などは、手動での削除が必要になることがあります。


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