iPhone 9がない最大の理由は、2017年が初代iPhoneの登場から10周年にあたり、Appleが記念モデル「iPhone X」を優先したためと考えられています。
ただし、Appleは「なぜiPhone 9を発売しなかったのか」という正式な理由を公表していません。そのため、数字の9を避けたという説や、マーケティング上の判断だったという説は、あくまで推測として区別する必要があります。
iPhone 9がないのは本当?iPhone 8の次に発売された機種
結論からいうと、Appleが「iPhone 9」という正式名称で発売したiPhoneは存在しません。
2016年にiPhone 7シリーズが登場し、2017年にはiPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone Xが発表されました。
通常の数字順で考えると、iPhone 8の次はiPhone 9になるはずです。しかし、Appleは「9」を飛ばし、ローマ数字の「X」を冠したiPhone Xを投入しました。
ここでいう「X」はアルファベットのエックスではなく、ローマ数字の10を表しています。製品名としての読み方も「アイフォーン・テン」です。
その後、2018年に登場したのは次の3モデルでした。
- iPhone XS
- iPhone XS Max
- iPhone XR
iPhone Xの後継シリーズが発売されたことで、製品名がiPhone 9へ戻ることもありませんでした。
さらに後年は、iPhone 11、iPhone 12、iPhone 13という形で数字が続いています。この流れから見ても、iPhone 9は単に発売が遅れているのではなく、製品名の歴史から事実上飛ばされた番号だと考えるのが自然です。
2017年にiPhone 8とiPhone Xが同時に登場した
iPhone 9がない理由を考えるうえで重要なのが、2017年にiPhone 8シリーズとiPhone Xが同じタイミングで発表されたことです。
iPhone 8は、ホームボタンを搭載した従来型デザインを受け継ぐモデルでした。
一方、iPhone Xはホームボタンを廃止し、画面上部に切り欠きのある新しいデザインを採用したモデルです。指紋認証のTouch IDに代わり、顔認証のFace IDも導入されました。
つまり、2017年のAppleは、従来路線を進化させたiPhone 8と、次世代の方向性を示すiPhone Xを同時に用意したことになります。
この製品構成を見ると、AppleはiPhone Xを単なる「iPhone 8の次の機種」ではなく、新しい時代の始まりを象徴する特別なモデルとして扱いたかったと考えられます。
iPhone 9がない理由は10周年モデルを優先したから?
iPhone 9が存在しない理由として最も有力なのは、初代iPhoneの登場から10周年を記念して、iPhone Xという名称を優先したからという説です。
初代iPhoneが発表されたのは2007年です。その10年後にあたる2017年、Appleは節目を強く印象づける製品としてiPhone Xを発表しました。
仮に通常どおりの命名を続けていれば、2017年の上位モデルは「iPhone 9」になっていた可能性があります。
しかし、「iPhone 9」では10周年との関係が伝わりません。一方で「iPhone X」であれば、ローマ数字の10によって記念モデルであることを製品名だけで表現できます。
Appleが正式な理由を説明しているわけではありませんが、次の事実を組み合わせると、この説には一定の説得力があります。
- 2017年が初代iPhoneから10周年だった
- 同年にiPhone 8とiPhone Xが発表された
- iPhone Xの「X」はローマ数字の10を意味する
- iPhone Xではホームボタン廃止など大きな設計変更が行われた
単に数字を一つ飛ばしたというより、10周年という物語を優先した結果、9を使う必要がなくなったと見るほうが実態に近いでしょう。
iPhone Xは「10周年を象徴する名前」だった
製品名は、性能を区別するための記号であると同時に、商品の印象を作る重要な要素です。
もし2017年に「iPhone 9」という名称だけを採用していた場合、消費者には従来モデルの延長として受け取られた可能性があります。
ところが「iPhone X」という新しい呼び方を採用すれば、これまでとは異なる特別な機種だと印象づけられます。
実際、iPhone Xでは画面の大型化だけでなく、操作方法も大きく変わりました。
ホームボタンを押してホーム画面に戻る操作から、画面下部を上へスワイプする操作へ移行したことは、その後のiPhoneにもつながる大きな転換点です。
筆者としては、iPhone 9がない理由を考える際、数字の縁起よりも、この製品の世代交代を分かりやすく見せるマーケティング上の判断を重視するのが妥当だと考えます。
「数字の9が不吉だから避けた」という説は本当?
iPhone 9がない理由として、インターネット上では「9が不吉な数字だからAppleが避けた」という説も見られます。
しかし、現時点でAppleがそのように説明した事実は確認されていません。
そのため、数字の9が不吉だからiPhone 9を発売しなかったと断定することはできません。
元ネタの一つでは、9が一桁の最後の数字であることから「終わり」や「完成」を連想させるという説が紹介されています。
数秘術などで9を完成や区切りと結びつける考え方もあり、「iPhone 9では製品の進化が終わる印象を与えるため避けたのではないか」という都市伝説です。
興味深い説ではありますが、Appleの公式発表や製品資料によって裏付けられたものではありません。
また、世界中で9が一律に不吉な数字として扱われているわけでもありません。国や文化によって数字に対する受け止め方は異なります。
世界規模で製品を販売するAppleが、一部の文化的な印象だけを理由に主力製品の名称を決めたと考えるには、根拠が不足しています。
「9は最後の数字」という都市伝説
数字は0から9までの10種類を基本としており、9は一桁の最後に位置します。
そこから、9には「完成」「終了」「一区切り」といった意味があるとする解釈があります。
この考え方をiPhoneに当てはめると、「iPhone 9」という名前はシリーズの完成や終了を連想させるため、Appleが避けたのではないかという説になります。
ただし、これは数字に意味を見いだす考え方から生まれた推測です。
実際の商品名が決められた経緯を示す資料ではなく、後から番号の欠落を説明するために広まった都市伝説と考えたほうがよいでしょう。
Windowsも9を飛ばしたことが噂を広げた
iPhone 9をめぐる都市伝説が広まりやすかった背景には、MicrosoftのWindowsも「Windows 8」の次に「Windows 10」を発売したことがあります。
異なる大手IT企業がどちらも9を飛ばしたため、「海外では9を避ける特別な理由があるのではないか」と考える人が増えました。
しかし、AppleとMicrosoftは別の企業であり、製品の命名方針も異なります。
両社が同じ理由で9を飛ばしたと確認できる公式情報はありません。
似た事例が続くと共通の法則を見つけたくなりますが、偶然や個別のマーケティング事情で説明できる可能性もあります。
したがって、Windowsの事例は興味深い関連情報ではあるものの、iPhone 9がない理由を証明する材料にはなりません。
Appleは過去にもiPhoneの番号を飛ばしている
実は、iPhoneで飛ばされた番号は9だけではありません。
正式名称が「iPhone 2」となる機種も存在しません。
初代iPhoneの次に発売されたモデルは「iPhone 3G」でした。
ただし、iPhone 3Gの「3」は単純な3代目という意味ではなく、当時普及していた第3世代移動通信システムの3Gに対応したことを示す名称です。
この事例から分かるのは、AppleがiPhoneの番号を厳密な世代順として扱っていないことです。
名称を一つずつ順番に増やすよりも、その機種の特徴や販売戦略を伝えやすい名前を選ぶことがあります。
機種名 発表された位置づけ 命名上の特徴
初代iPhone 最初のiPhone 番号なし
iPhone 3G 初代の次のモデル 3G通信対応を名称に使用
iPhone 8 従来型デザインの発展モデル 数字順を継続
iPhone X 10周年を象徴するモデル ローマ数字の10を使用
iPhone XS・XR iPhone Xの後継モデル 9には戻らずXを継承
iPhone 11 次の数字シリーズ 10を基準に数字を再開
この流れを見ると、Appleにとって数字は製品の正確な代数を示すものではなく、その時点で伝えたい価値を表現するブランド名の一部だと考えられます。
Appleは規則性よりブランドイメージを優先する
Appleの製品名は、必ずしも一般的な商品分類や発売順に従っているわけではありません。
たとえば、Apple TVは一般的なテレビ本体とは異なる製品として登場しました。
iPodやAirPodsについても、商品の特徴を説明する一般名詞ではなく、Apple独自のブランドとして定着した名前です。
iPhoneでも同様に、番号を正確に並べることより、消費者が覚えやすく、製品の立ち位置が伝わりやすい名称を優先したと考えられます。
iPhone Xの場合は、10周年、新しいデザイン、次世代の操作方法という複数の意味を「X」という一文字に集約できました。
その効果を考えると、iPhone 9を飛ばすことはAppleにとって大きな問題ではなかったのでしょう。
iPhone SE第2世代が「iPhone 9」になる噂もあった
一度は飛ばされたiPhone 9という名称ですが、2020年ごろに再び使われるのではないかと注目されました。
当時、初代iPhone SEの後継機が登場すると予想され、その新機種を「iPhone SE 2」ではなく「iPhone 9」と呼ぶ可能性があるという噂が広まったためです。
噂された機種は、iPhone 8に近い本体デザインを採用しながら、内部の処理性能を新しくした廉価モデルと予想されていました。
そのため、位置づけとしてはiPhone 8の後継に近く、「飛ばされていたiPhone 9の名称が使われるのではないか」と考えられたのです。
米国の大手量販店Targetに関連する製品画像で、「iPhone 9」と記載されたアクセサリーらしき情報が確認されたとも報じられ、噂の信憑性が注目された時期もありました。
しかし、2020年に実際に発表された製品名は、iPhone SE(第2世代)でした。
AppleはiPhone 9という名称を復活させず、既存のSEブランドを引き継ぐ判断をしました。
さらに2022年にはiPhone SE(第3世代)が登場し、廉価モデルの名称としてSEシリーズが定着しました。
なぜiPhone SE第2世代がiPhone 9と呼ばれたのか
iPhone SE第2世代が「iPhone 9」と予想された理由は、単なる都市伝説だけではありません。
同モデルは、外観上はiPhone 8に近いデザインを採用していました。
ホームボタンやTouch IDを搭載し、従来型の操作感を残しながら、内部には当時の新しいチップを搭載したモデルです。
そのため、製品の系譜として「iPhone 8の次に位置する低価格モデル」と考えれば、iPhone 9という名称にも一定の整合性がありました。
一方で、Appleから見れば「iPhone 9」と命名すると、当時の主力シリーズより古い世代のように見える問題があります。
2020年にはすでにiPhone 11シリーズが販売されていました。その時期にiPhone 9を発売すれば、消費者が発売時期や性能の上下関係を誤解する可能性があります。
初代から認知されていたSEの名称を使うほうが、「標準シリーズとは異なる小型・手頃な系統」という立ち位置を示しやすかったのでしょう。
筆者としては、iPhone SE第2世代で9を復活させなかった判断によって、Appleが数字の穴を埋めることより、現在の製品ラインを理解しやすくすることを優先している点が明確になったと感じます。
iPhone 9は今後発売される可能性がある?
現在の製品名の流れを考えると、今後Appleが「iPhone 9」という名称を新製品に使う可能性は低いと考えられます。
Appleが将来の全製品名を事前に公表しているわけではないため、絶対に発売されないとは断定できません。
ただし、すでにiPhone 11以降の数字シリーズが長く続いており、過去の番号へ戻る合理的な理由はほとんどありません。
新しい低価格モデルについても、SEなどの別名称が使われてきました。
ここで突然iPhone 9を発売すると、2017年ごろの旧世代モデルだと誤解されるおそれがあります。中古端末や交換部品を探す場面でも、既存シリーズとの関係が分かりにくくなるでしょう。
製品名は消費者が性能や発売時期を判断する手掛かりでもあります。
ブランド管理の観点から見ると、一度飛ばした古い番号を後から復活させるメリットより、混乱を招くデメリットのほうが大きいと考えられます。
「発売予定がない」と「絶対に発売されない」は違う
iPhone 9について調べる際に注意したいのは、「現在確認できる発売予定がない」という事実と、「将来も絶対に発売されない」という断定を分けることです。
Appleは未発表製品の名称や仕様を、正式発表前に明らかにしないことがあります。
そのため、将来の名称を第三者が完全に断定することはできません。
一方で、これまでの製品展開やブランド上の整合性を考えれば、今後iPhone 9が通常モデルとして登場する可能性は極めて低いと見るのが自然です。
新製品の噂を見るときは、リーク情報やアクセサリーの商品名だけで確定情報だと判断せず、Appleの正式発表を待つ姿勢が重要です。
iPhone 9がない本当の意味を考察
ここからは、確認できる事実を踏まえた筆者の考察です。
iPhone 9がない理由については、数字の縁起や数秘術など、さまざまな説が語られてきました。
しかし、製品発表の時期とiPhone Xの位置づけを考えると、最も現実的なのは「10周年を象徴する名称を優先した」という説明です。
2017年のAppleにとって重要だったのは、iPhone 8の次の数字を機械的に付けることではありませんでした。
初代iPhoneから10年を迎えたタイミングで、ホームボタンを中心とした従来の設計から、新しい全面ディスプレイ型の設計へ移行することを強く印象づける必要があったと考えられます。
そこでiPhone 9ではなくiPhone Xを選ぶことで、記念モデルとしての特別感と、次の10年へ進むイメージを同時に表現できました。
iPhone 9は「欠番」ではなく役目を失った番号
一般的には、iPhone 9は「欠番」や「飛ばされた番号」と説明されます。
ただし、より正確に捉えるなら、iPhone 9は発売中止になった機種ではなく、命名上の役目を与えられなかった番号です。
AppleがiPhone 9という製品を完成させた後で発売を取りやめたという公式情報はありません。
番号順で見れば9が抜けていますが、Appleの製品名は厳密な連番ではありません。初代iPhoneの次がiPhone 3Gだったことからも、数字は世代番号だけを意味しないと分かります。
この点を理解すると、「存在するはずだったiPhone 9が何らかの事情で消された」という見方より、「iPhone Xという名前が選ばれた結果、9を使う場面がなくなった」という説明のほうが自然です。
数字より製品の物語を優先するAppleの戦略
Appleは、製品の機能だけでなく、その製品がどのような意味を持つのかという物語も重視してきました。
iPhone Xという名称には、10周年、特別なモデル、新しい操作体系への転換という印象が含まれています。
対して、iPhone 9という名称では、iPhone 8の次という情報しか伝えられません。
商品を市場で目立たせるという視点では、Xのほうがはるかに強い名称です。
個人的には、iPhone 9がないこと自体がAppleの命名戦略を象徴していると感じます。
規則に沿って番号を並べるより、製品の転換点を印象づける名前を選ぶ。この柔軟さが、iPhone Xを現在まで語られるモデルにした要因の一つではないでしょうか。
iPhone Xはその後の標準を作った
iPhone Xは、単なる10周年記念の限定的なモデルではありませんでした。
ホームボタンをなくしたデザイン、Face ID、ジェスチャーを中心とした操作方法は、その後の多くのiPhoneへ受け継がれています。
つまり、Appleは記念モデルを発売しただけでなく、そのモデルを次世代iPhoneの基準にしました。
この結果を振り返ると、iPhone 8からiPhone Xへ飛んだ命名は、実際の製品進化とも一致しています。
従来型の延長を示すiPhone 9ではなく、大きな区切りを示すiPhone Xを名乗るだけの変化があったと評価できます。
一方で、ホームボタンを好む利用者向けにはiPhone 8の設計を引き継いだiPhone SE第2世代が後から登場しました。
Appleは一つの製品名にすべての需要を集約するのではなく、標準シリーズとSEシリーズを分けることで、異なる利用者層へ対応したと考えられます。
まとめ
iPhone 9が存在しない正式な理由について、Appleは明確な説明を公表していません。
ただし、2017年が初代iPhoneの登場から10周年にあたり、Appleが記念モデルとしてローマ数字の10を使った「iPhone X」を発表したことから、10周年の演出と大幅なモデルチェンジを優先して9を飛ばしたという説が最も有力です。
「9が不吉だから避けた」「9は完成や終わりを意味する」といった話もありますが、これらは公式に確認された理由ではなく、都市伝説や推測として扱う必要があります。
2020年にはiPhone SE第2世代が「iPhone 9」として発売されるとの噂もありましたが、実際にはSEの名称が採用されました。
その後も数字シリーズは先へ進んでいるため、今後iPhone 9という名称が新製品に使われる可能性は低いと考えられます。
iPhone 9は、発売予定の機種が消えたというより、Appleが製品の順番よりも10周年の物語とブランド戦略を優先したことで、使われる機会を失った番号だと理解すると分かりやすいでしょう。
よくある質問
iPhone 9は本当に存在しないのですか?
Appleが「iPhone 9」という正式名称で発売したiPhoneは存在しません。iPhone 8の次に登場した特別モデルは、ローマ数字の10を使用したiPhone Xでした。
iPhone 9がない理由をAppleは発表していますか?
Appleは、iPhone 9を使わなかった理由を公式には説明していません。初代iPhoneの10周年を記念してiPhone Xを優先したという説が有力ですが、正式に確定した理由ではありません。
iPhone SE第2世代はiPhone 9ではないのですか?
2020年の発売前にはiPhone 9という名称になるとの噂がありましたが、正式名称はiPhone SE(第2世代)です。AppleがiPhone 9として販売した事実はありません。


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